第 05 章「宿命」
第 02 節「“LIFE”を継ぐ者」
御者と馬を安全な場所に避難させて、ルアーズが戻ってきた。
荷車の中にはもう一人メレナティレの技師がいて、残る2体を立ち上げたところだった。
ライトブルーのボディと、両手には先の槍機体が使っていた魔法銃を大きくしたような武器を搭載して、新鋭と思われる巨体が姿を現した。
もう1体は紫ががったボディを持つが、本体は小振りで両手に同様の銃器を構えている。
「奥のほう、引き受けようか?」
「はい・・・。
ルアーズさん、魔法使いと剣士がパーティを組む場合、一人は後方に下がりますよね。」
「うん。
・・・あっ、この2体も、そういうことなのかしら!?」
後衛を好きにさせておくのは極めて危険だ。
ルアーズは後ろに下がった紫色の機体に接近しようとした。
すると、手前にいる青色の巨体が彼女を阻んだ。
次いで紫の機体が、奥からファラに砲口を向けたかと思うと、銃器に込められた「テティムル」で、彼の魔力を吸収し始めた。
「ううっ、どうにか止めないと・・・。」
メレナティレの技師が荷車の上で叫んでいる。
「俺達のかわいいメカを台無しにしやがって!
『インプ』と『アンプ』の餌食になるがいい!!」
ファラはまだ、攻撃型「テティムル」を受けること自体にほとんど経験がない。
このまま吸い尽くされる以外ないのだろうか。
「魔法はあなたに頼ることしかできないけど、私は手前のやつをなんとかして、奥のも叩くようにする・・・!!」
「アンプ」と呼ばれた青いボディのほうは豪腕で、突破しようとしても打撃で弾き返してくる。
身の軽いルアーズとしては、まずこちらにダメージを与えて振り払わねばならない。
足に金属の魔具を、肘にエルボーパッドを装着し、カタールナイフを握りしめた。
鉄板になっている青い「アンプ」のボディ目掛けて一撃、タックルを入れてみる。
すると大きな腕を振り回す反撃が来て、ルアーズは敵の拳を受け止めたが、バトルフィールドの外側まで飛ばされてしまった。
そうこうしているうちに、後方の紫色をした「インプ」が、ファラから吸収しているのと反対の腕で、黒紫色の魔力の球を作って、前方にいる「アンプ」へ与えるように放射した。