第 05 章「宿命」
第 02 節「“LIFE”を継ぐ者」
ルアーズは馬車から飛び出しかけた。
ついに、メレナティレがロボットを放とうとする現場を押さえたのである。
不良機体だなどと、国家を欺(あざむ)き、破壊行動をインプットしたロボットたちを翳(かげ)でばら撒く。
人々の不安を掻き立てて、王位を簒奪(さんだつ)しようというカザロワの企み。
彼女が出るならファラも止めなかっただろう。
しかし、御者がそれを制した。
「どうしましたか?
こちらは、旅のお客様ですが。」
「構わない。
全員、降りろ。」
臨戦態勢で応じたいくらいだった。
今度はファラが、御者の気持ちに配慮してルアーズを止めた。
「IDは?」
御者が最初に提示した。
ファラは、先にルアーズが、堂々としていればいいと言ったことを、目配せで思い出させるようにした。
「お前はサウスウエストの者だな。
これからどこへ行く?」
「ミナリィ港へ。
武芸の修行に出かけます。」
「ははっ、女が拳法か。
これだから王宮の周りに住むのはいけないな。」
侮辱である。
武装した兵は全部で3人。
機械の整備に付き添っている技師が2人。
隊長の暴言に、部下たちは声を出して笑った。
だが、ここで手を出しては、こちらの方が悪いことになってしまう。