The story of "LIFE"

第 05 章「宿命」
第 01 節「民衆と国家」

第 18 話
前へ 戻る 次へ

ヱイユは幼少の頃から知っている、この老技師に敬意を表し、今度は懐から一通の手紙を取り出した。

「ソマからです。
話せば長くなりますが、タフツァが単独で敵の本拠地へ行くことになってしまって。
私も加勢しましたが、あいつは無理をして負傷しました。
結局モアブルグまで連れ帰って、手当てをして・・・。」

それからヱイユは、城塞テビマワに現れた首領・悪魔使いフィフノスを追い、幾度か戦闘を交えなければならなかったことを話した。

「私が離れている間に、むこうのパーティ(一行)がルモアの港へ退避する途中、ソマとタフツァが古都の軍隊に捕らわれました。
今はアミュ=ロヴァの、『オフサーヤ宮殿』の塔に、別々に幽閉されています。」
「フィヲちゃんや、ザンダ君たちは?」
「全員、船で逃がしました。
フスカ港に到着している頃でしょう。
私はここへ来る空路、船上に降りて彼らと会い、フスカでファラを待つようにと伝えてあります。」

LIFE騎士団は急成長を遂げ、民衆の支持を集めて、今やLIFEやノイにとっても心強い同胞部隊へと飛躍しつつある。
その一団を派遣し、悪魔結社マーラの脅威からアミュ=ロヴァの民を開放させるのだ。

ファラは略式でルアーズに手紙を書いた。
これを明日の午前中に渡し、その足でスヰフォスを訪ね、ビオムへ帰って落ち着いたらアミュ=ロヴァの情勢を見て手助けしてほしいと、頼みに行くことを決めた。

「私は北に戻って、フィフノスが操る悪魔3体、できれば全部、叩いておくようにします。
タフツァとソマを抜きに、もしも現状LIFEが悪魔と戦うようなことになったら、おそらくやられるでしょう。
現地に派遣する騎士団にしてもそうです。
・・・ただし、ファラ。
俺も相手が相手だけに、いつまで守ってやれるか分からない。」

リザブーグへ来た3人は、まだ悪魔と聞いてもピンとこなかっただろう。
ノイとトーハは15年前に大空を埋め尽くした「黒い翼」を思い出す。

「隣国へ退避したとしても、追手があることが前提になる。
自由市国ミルゼオに長く留まることもできまい。
フスカ港からワイエン列島を通って東方の大陸イデーリアに渡り、そこでフィヲやザンダも戦力にできるよう、力をつけてきてくれ。」

「イデーリア大陸」という名前は覚えていた。
そこはルアーズが話していた、彼女の生まれ故郷でもある。

前へ 戻る 次へ
(c)1999-2024 Katsumasa Kawada.
All Rights Reserved.