The story of "LIFE"

第 05 章「宿命」
第 01 節「民衆と国家」

第 04 話
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午前中の特訓を終え、昼食を済ましたファラは、空き地で胡坐(あぐら)をかいて「ヒーリング」を行っていた。
大地から集めた、水色の魔力に包まれて、体の疲れを癒すのである。

シェブロンに言われたように、彼は「ドゥレタ」を回復魔法から覚えていた。

ここへルアーズが迎えにきた。
彼女はまだ体力ではファラに負けないが、連日のトレーニングで疲労は溜まっていた。

「ルアーズさん、ぼくの体力をさしあげます・・・。」

少年は少しいたずらっぽい笑いを浮かべながら、ヒーリングを続けて、別の魔法陣を描き始めた。
まだ文字に慣れない様子で、ゆっくりと、丁寧に発動を起こしている。

「一緒に特訓してきたのに、あなたの体力をくれるだなんて、挑戦的じゃないの。」

彼女もそれが新しい魔法のことだとは分かっていたが、ファラがからかったようなので相手をしてやった。

水色は彼の魔力の色だ。
今、少年を取り巻いている色よりも濃い青色の魔法の球体が立ち上がり、ルアーズの体を包み込んだ。

「これはすごいわ、癒されていく・・・。」
「『テティムル』です。
ぼく自身から取り出したエネルギーを、ルアーズさんに。」

ファラは続いてルアーズに大地からのヒーリングを与え、自分は年老いた狼のヴィスクを召喚して見せた。

「大きい・・・!!
一人でこんなのと戦ったのね。」

それからヴィスクを収め、今度は「ドファー」の魔法陣を描き、その中央に自ら立った。

すると少年の体格が変化して、若い狼の姿になった。

「あはっ、かわいいじゃない。」

少し頭を撫でられて、恥ずかしくなったのか、元に戻ったファラが言った。

「年齢相応の姿になるみたいで。
今のはヴィスクがぼくくらいの歳の頃ですよ。」

残る「インツァラ」があと少しでできそうだという。
そして「グルガ」については、博士の手紙に次のように書かれていた。

「ヒントとなる魔法制御文字を幾つかここに記す。
『グルガ』を“LIFE”に応用する術(すべ)は、君自身の力で見つけ出してほしい。」

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