第 04 章「開戦」
第 03 節「人生の師」
ぽつぽつと雨が降り始めた。
不良ロボットの爆発から出た火は消し止められた。
「派手な戦闘になってしまったわね。」
「はい。
また背中が痛くなってきました・・・。」
「あははっ。
本当に痛むの?」
二人は城下町へ引き上げていった。
夕飯まで時間があるが、ルアーズはここで帰宅し、ファラは宿に戻って寝台に横たわった。
「ふう、やっぱり疲れるなあ。」
毎日、夜はよく眠れている。
彼はここで眠りに落ちることもできたが、気力で起き上がって机に向かい、魔法の本を開いた。
「用途や応用は実戦で身に付けるとして、まずは自分の手で全部の魔法を起こせるようにしよう。」
昼間は森で演習できなかった「クネネフの本」を開き、暖炉の炎に手の平を向けると、手早く指先でその文字を描いてみた。
炎が暖炉の奥側へ強く揺らめいている。
「『ドゥレタ(地)』は難しいな・・・。
博士に演習の仕方を教わろう。
『ゾー』と『トゥウィフ』なら、すぐできそうだ。」
一つまた一つと発動できるので自信が付いてきたようだ。
今度は「ゾー」で自分の体を無重力に近いくらい軽くして、下向きに「クネネフ」を放ってみた。
少年の体が宙に浮き上がる。
自分の魔法では初めての経験だったので驚き、感動もした。
「クネネフ」の発動を徐々に収めると、ふわふわと下降して床板に足が付いた。
次に「トゥウィフ」である。
文字の形が難しいため、即座に発動するには回数を重ねなければならない。
それでもゆっくり描いただけで、シュッと風を切るような、いわゆる「つむじ風」が発生し、ぐるぐると渦巻いた。
「これを水平に飛ばせば、相手の『ロニネ』を破れるんだな。
だけど、そんなふうに相手を攻撃することがあるだろうか・・・?」
「ドゥレタ」もさることながら、ここからが大変になる。
「テティムル(吸収)」「インツァラ(爆発)」「ドファー(変身)」、そして「グルガ(生滅)」である。
実際に、誰かまたは何かの生命体から魔力を吸収するなどということが、果たして演習として許されるのか。
更に「グルガ」は、一体どうやって修得すればいいのか・・・。