第 04 章「開戦」
第 03 節「人生の師」
これで敵の飛び道具は全て使わせたことになる。
ルアーズは足の裏と甲、踵(かかと)に、蹴撃を強化する鉄板を装着した。
これにもトゥウィフが込められているという。
更にカタールナイフを身に付け、ロボットの魔法シールド目掛けて強撃を打ち込んだ。
シールドは破れて魔法は消え、金属の柄と盾の中心部分だけが残った。
ロボットがこの鉄塊を投げてきたので、ルアーズは飛び上がった勢いで右足から一撃、半回転して左足の踵から一撃、相手の頭部に見舞った。
機械眼が破損したロボットは、もはやこちらの動きを捉えられない。
止(とど)めの一撃は右足からの垂直踵落としである。
脳天から腹部にかけて蹴り落とされた傷を見る限り、刃の短い柄物による斬撃かと思われた。
残るは一機。
森の木々を突き抜けた上空では、ゴロゴロと冬の雷が鳴り始めている。
「ルアーズさん、こいつはぼくが倒します。
ロニネの後ろに入ってください。」
少年の指先が一つの魔法文字を描き、天へ向けて振り上げられた。
「くらえッ!
これが初めての『テダン』だ!!」
今の彼の魔力ではごく細い電撃しか呼び起こせなかっただろう。
しかし、その一筋の光は、辺りの黒雲が帯びている大自然の雷電をも誘導し、大地目掛けて迸ったのである。
黒焦げになった機体は爆風とともに飛び散ってしまった。
ルアーズが倒した機体も巻き込まれて爆発した。
ファラは「パティモヌ」を使い、川の水を球状に集めて、枯れ葉などに燃え移った火種を鎮めていった。