The story of "LIFE"

第 04 章「開戦」
第 02 節「時の覚醒(かくせい)」

第 18 話
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「ノースイーストタウン」は、今来た町と似たような景色を持ちながらも、やはり特色があるように思われた。

四方の門の周り、つまり城に近い所が居住エリアになっているのは城下町全体の造りらしい。
外へ通じる「ゲート」の周りは工場であり、中間地帯に商店がある。

そしてこの北東の町はユニークな路地を持っていて、曲線を描くように家屋が並び、区画と区画の間には一人が通れるほどの細い道が作られている。
民家には表に面した出入り口がなく、横道は普段、そこの住民だけが使っていた。

「まるで迷路だ・・・。」

ふと、手に持っていた杖が気になった。
先の方に亀裂が入って、今にも割れそうになっている。

生まれて初めて持った杖は父の手によるもので、これより二回りも小さいものだった。

旅の中、もっと大きな杖が必要だと感じ、前の杖に形を似せて、自分で削った樫の杖である。
そのため、物はかわっても、これには子を想う父の心が込められていると信じていた。

「新しい武器をもらいに行くんだ。
うん、あの木の根元に・・・。」

街路の片隅に、1本のまだ小さな木を守るようにして壇が築かれており、そこだけ石畳がなく、豊かに土が盛られている。
彼はちょうど杖が埋まるぐらい掘り返すと、きちんと土をかけて平らにしておいた。

それから方々歩き回って城を眺めたり家並みに見入ったり、走り回る子供たちに声をかけたりして、なかなか居住エリアから商店区域へ出ることができなかった。
十字路に立って、きょろきょろ見回していると、遠くの方に、まだ学校へ行かないくらいの、幼い少女の姿が目に入った。

ちょうど城が見える方角へ傾きかけてだんだん赤くなった陽の光が、優しく照らしたからだろうか。
突然ファラは恍惚となり、胸が熱くなって、涙が溢れてくるのを袖でぬぐった。

少女はこちらを見ると、にっこり微笑んで、歩み寄ってきた。

「これ、あげる。」
「あ・・・。
君は・・・。」
「パナ=リーシャというの。」
「パ、・・・パナって・・・?」

少女はファラの手に、そっと、「髪飾り」を差し出した。
彼女の温かい手に触れた。
不思議と涙が流れ出して、止まらなくなった。

それでも少女は微笑んで、手を振り、少し駈け足で、東の方へ見えなくなってしまった。

「ま、待って・・・。」

しかし街路の先にも、脇道を見ても、すでに少女の姿はなかった。
そうして彼は、商店が立ち並ぶ通りへ出たことに気が付いた。

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