The story of "LIFE"

第 04 章「開戦」
第 02 節「時の覚醒(かくせい)」

第 16 話
前へ 戻る 次へ

午後、ファラはルアーズに案内されて「ノースイーストタウン」に向かっていた。
彼女が言うには、午前中に見た機械系のショップのうち、半数以上が以前は兵士用の装備を供給していたそうだ。

博士が心配していたように、近年、騎士の役目は減る一方であり、失業した者は年齢を問わず巷に溢れてしまっていた。
酒場に大勢客がいたのもそのためだ。

「慣れた仕事ができなくなると、他のことで力を活かせればいいけれど、大人たちが自暴自棄になって国は荒廃してしまうわ。」
「こういうことだったんですね。
馬車の中でずっと皆さんが話をしていて、『騎士団』を作ろうとかって。」
「国ではなく、民間の、それもLIFEの騎士団ね、すばらしいじゃない!」

もうすぐ隣町への門があり、通行証を求められるそうだ。

「あれ見て、犬が・・・。」

居住エリアの方から追われてキャンキャン鳴き声あげているのは老いた中型の犬で、後から木の棒を持った男が走ってきた。

「このクソ犬め!」

ファラが駆け寄って間に入った。
棒が振り下ろされたが、何とか受け止めた。
殺意を感じさせる一撃に、左の手の平からは血が滴り落ちている。

ルアーズは男をファラに任せて犬を介抱した。
背中から脇腹にかけてケガをしているようだ。

「お前はなんだ?
やるのか!」
「どうして動物をいじめるんだ!」

ファラも樫の杖を身構えている。

男は突撃(つき)を繰り出してきたので、ファラは右へかわして男の肩を蹴倒し、体勢を立て直して向かってくる相手の顔に「パティモヌ」で水を浴びせてやった。

「このやろっ!」

少年の杖による強突が男の棍棒を振り下ろそうとする手首に炸裂すると、狂った木の鈍器は遠くへ飛んでいってしまい、男もようやく怖気づいてきた。

前へ 戻る 次へ
(c)1999-2024 Katsumasa Kawada.
All Rights Reserved.