The story of "LIFE"

第 04 章「開戦」
第 02 節「時の覚醒(かくせい)」

第 08 話
前へ 戻る 次へ

王国領内に入っても森が続く。

もう少し行くと大きな川が流れており、道ごとに橋が架けられていて、渡ったところが「ゲート」と呼ばれる城下町への入口になっている。
何重にも防衛機能を備えた城と言えるだろう。

「私の家は王宮の南西にあるの。
一度家族に会って準備をしてくるから、一緒に来てもらえるかしら。」
「はい。
・・・そうだルアーズさん、機械と戦闘になった場合、この樫の杖では心細いので、応戦できるような金属の武器と、身軽に動ける防具が一つほしいんですけど。」
「装備も相手で選ばなくてはね。
『戦杖』と、攻守に長けた『バックラー(盾)』がいいと思うわ。」
「旅をしながら、村や町では依頼(クエスト)を受けることがあって、報酬をくれるというので、靴や着替えの衣類をもらったり、食べ物をもらったりしていました。
お金や金属板(インゴット)も、ちょっとならあります。」
「どんな武器を持ったロボットがいてもおかしくないものね。
銃器から身を守れるくらいのものは必要かもしれない。」

護衛騎士のノイは、ファラが装備品のことを考えていたのが興味深かったらしい。
この少年の父・ツィクターは彼の同僚であり、騎士として心から尊敬する人物でもある。

フスカ港を出発してすぐに眠りに落ちてしまったファラは夕方頃には目を覚まし、会話の中で、15年前にLIFEのメンバーとして両親が加わっていたこと、そして自身も1歳になるか、ならないかくらいで母の膝の上にいたことなどを聞かされていた。

母が生命を賭して魔王を封じたというその場所に自分が今近づいていることを思うと、慕情が込み上げてくる。

依然として父の消息や、LIFEを離れてレボーヌ=ソォラに向かった目的などは不明であったが、両親につながる人々との再会は、孤独だった彼に家族のような温もりを与えてくれたのである。

10歳そこそこで父とはぐれてしまった後、不確かな情報によって、父が自分を探しながら南下していると聞き、心細い思いをしながら町を訪ね歩いた日。
レボーヌ=ソォラを出て中立自由市国ミルゼオをさまよう幼心は弱く、座り込んで泣いていた所を「ヒムソン法師」という魔法使いに拾われて4年ほど世話になっている。

父が心配しているに違いないという焦りと、肉親の恋しさに何度も出発を思い立ったが、法師は外が危険であること、しばらく修行すれば一人でも旅に出られること、そしてきっと父に会えるだろうということを諭して引き止めなければならなかった。
人の大事な子供を預かった以上、せめて一人で野営ができ、野生動物に襲われても対処できるくらいの実力と経験は持たせてやりたいと思ったのである。

前へ 戻る 次へ
(c)1999-2024 Katsumasa Kawada.
All Rights Reserved.