The story of "LIFE"

いつしか陽は古都アミュ＝ロヴァの彼方へ没しようとしていた。

タフツァとヱイユが塞外まで戻ると、城壁が一箇所、二箇所と破壊されていくのが分かった。
軍の突撃態勢が整いつつあるようだ。

自棄(やけ)になったマーラの一団は、次から次へと城塞を飛び出し、タフツァたちに襲い掛かってくる。
だが二人とも強固なバリアで守られて、どんな魔法も効かないのである。

遠くからルヴォンの声が響いてきた。

「はっはっは、ご苦労だったな、ＬＩＦＥ殿。
あとは我々に任せたまえ･･･。」

まだ戦意を示して城内から続々と出てくる術士たちに、挟撃(はさみうち)の作戦をとった第二隊・第四隊がぶつかっていく。
衛士たちは解き放たれた猟犬のように、鋭利な武器を取り出して、黒い魔法使いたちに斬りかかっていった。

「司隊！
約束が違うではありませんか！！
剣を収めてください･･･！」

アミュ＝ロヴァから来た第四隊は砲台を用いて砦に弾を撃ち込んでいる。
中には倒れた術士たちが大勢いるのだ。

ヱイユは怒りを露わにし、巨大な怪鳥の姿へと変化する。

埃っぽい風に吹かれた夕闇の空が、一層黒い翼で覆われた。

「恐れるな、あれはＬＩＦＥの仲間だ。
絶対に生命を奪うようなことはしない！」

ギュバがそう叫ぶと、一瞬怯んでいた衛士たちも剣を振り上げ、叫び声を上げながら城塞内部へ攻め入っていった。

彼一人だったなら、軍もマーラも散り散りにしてしまうところだが、正体を知られている以上、もし軍の行動を阻めば、ＬＩＦＥはアミュ＝ロヴァの敵と認定されてしまうだろう。
師恩を報ずるどころか、博士にも迷惑をかけ、大切な仲間たちを危険に陥れることになる。

必死で殺し合いを止(や)めさせようと抵抗するタフツァも、軍隊と群衆の、ごった返しの戦闘の中で為す術もなく、兵士に蹴飛ばされて外側へはじき出されてしまった。

悔しさに大声で何かを叫びながら泣き崩れるタフツァを、上空からヱイユが降りてきて助けた。

これほどの悲惨を目の前にして、何もできないとは。