第 04 章「開戦」
第 01 節「憎悪の対立」
「ザベラムの時といい、湖畔の屋敷での応戦といい、そしてここまで一人で来るとは、まるで博士の行動を見ているようだ。」
タフツァは一人で考えにふけっていただけに、背後から人の声がして驚いた。
振り向くと、闘神ヱイユが立っているではないか。
その姿を見るや、肩に入っていた力がスッと抜ける感じがした。
「・・・君がいてくれるのは心強い。
ザベラムでは助かったよ。」
ヱイユは一冊の本を手にしていた。
「この文字は、作用する向きを持ち、一つの魔法文字からもう一つの魔法文字へ、はたらきかけさせるらしい。
古代には生命を奪う以外の用途でグルガが多く使われていたらしいな。」
タフツァは本を受け取った。
「『レウルの本』・・・!!
これがあれば、トゥウィフが作用しない空間を作れそうだ。
応用で『非魔法場』も実現できるだろう。」
「『アンチ・トゥウィフ』の空間内では、当然お前のトゥウィフも無効になる。
それから、もしも『レウル』を奴らに使われるようなことになれば危険だぞ。」
魔法の消滅。
これが悪用されて、生命に向けて放たれたら・・・。
「どうする、他の方法を考えるか?
俺が空から城塞を破壊してもいいが・・・。」
「いや、すぐにアミュ=ロヴァ軍がここを包囲するだろう。
離散させてしまえば国中に危険が広がってしまう。
・・・彼らとの約束だ。
術士を捕縛するのに、協力してもらえないか。」
「いいだろう。
マーラからも軍からも犠牲を出さずに戦う方法があるとすれば、お前の考える作戦しかないな。」