The story of "LIFE"

第 04 章「開戦」
第 01 節「憎悪の対立」

第 16 話
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四角い石を積み上げて築かれた砦は3階までができてきており、更に天へ向かって増強されつつあった。

「あれを一個の生命体と見てもいい。
手数(てかず)の多い相手になるが・・・。」

安易に近づけば遠隔攻撃されるだろう。
飛んでくる魔法の軌跡は一つではない。
身でよけるのはとても不可能である。

近年のレボーヌ=ソォラを知る者ならば、いつの間にあの寒村が城壁と塞(とりで)を構えたのだろうと、我が目を疑うところである。
四方を囲んでいる壁の内側に立てば、攻撃の的(まと)にされることはまず間違いない。

「ケプカスもラモーも、グルガを使って魔法を消滅させる方法は知らなかった。
ロニネが破られるとしたらトゥウィフだけだろう。
敵が放つ全ての魔法を吸収しながら、一人ずつ倒していくか。
・・・強気なことを言ってしまったけれども、『非魔法場』の魔法陣はかなりの試行錯誤を重ねなければ作れない。
しかし『アンチ・トゥウィフ』のバリアだけでも張れれば、ここでは無敵状態で戦えるぞ・・・!!」

黒ローブの術士たちが使うグルガは、恐ろしいことに相手の生命そのものを対象としている。

同じグルガでも、タフツァがケプカスのロニネを消滅させたり、ラモーのドファー(変化)を消滅させた時には、「相手にかかっている魔法」を対象としてグルガを用いた。

ここで、トゥウィフは万物の振動を司る魔法である。
ロニネで張ったバリアはほとんどの魔法を防ぐが、トゥウィフを受けると簡単に破られてしまう。

では、無数の敵がタフツァに向かって魔法攻撃を仕掛けてくる時、トゥウィフを防ぐ方法だけが問題になるだろう。
相手にかかっている魔法を消すのと違い、放たれたと思った時にはもうこちらへ到達して、大ダメージを受け兼ねない。

ふと彼はあることを考えて苦笑せざるを得なかった。
万物が運動を停止する低温、「ゼロ・ケルビン」を作り出すという方法だ。

ロニネの外側に冷気の魔法ザイアを使って絶対零度のシールドを設ける。

常に外界の気温が干渉するため、ゼロを維持するには魔力を消耗し続けなければならないだろう。
外気に対しては一定量の消耗でよさそうだが、魔法を撃たれたら相手の威力を上回る消耗が必要かもしれない。

「・・・ズーダ(熱)やフィナモ(炎)を使われたら終わりだな。」

また、このシールドに触れる生体は即死してしまう。
トゥウィフの対策として常駐させるにはあまりにも危険な方法と言わざるを得ない。

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