The story of "LIFE"

第 04 章「開戦」
第 01 節「憎悪の対立」

第 15 話
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マーラの首領の一人である奇術士ヨンドが「LIFE」と聞いて恐れていたように、軍の衛士たちもその名前には多少、畏敬の念を持っているらしい。
行軍を追い抜いて駆けていくタフツァは木でできた長い杖を持っており、身なりからして敵ではなさそうだということ、そして懸命な様子であったので、食って掛かるような者はなくなった。

「ずいぶん遅れてしまったな・・・。
さて、単独で乗り込んで一斉攻撃でもされたら、どう回避したものか・・・。」

やがて傲慢なギュバの姿が見え、振り向いたルヴォンと目が合った。
隊員は歩卒であったが、二人だけは馬に乗っている。

「タフツァ殿、ここまで追ってこられたか。
どうされるのも勝手だが、我々はこの戦いを長引かせるつもりはない。
今日の会戦で全てを終わらせる。」
「司隊、数百年の昔、グルガの『封印』を行って、魔力を失くした術士たちを処刑した後、世界はどうなりました?
生命は流転するのです。
彼らの末裔が、今のマーラよりも深い恨みを持って復讐するでしょう。
テビマワを滅ぼせばあなたの目先の役割は果たされるかもしれませんが、この国の未来はどうなるのです!」

これにはルヴォンも返す言葉が出なかった。
ギュバが馬から降りてこちらへ歩み寄ってくる。

「小僧め、黙っておれ。
第三隊は全滅させられた。
誰が彼らの残された家族を償うのだ。
マーラを絶滅させてこそ、殉職した衛士たちに報いられるではないか。」
「犯した罪は一生かけて償わせるのです。
私が『非魔法場(ば)』を作ります。
そこに獄舎を立てましょう。
終身刑でも構わない。
私がテビマワに入って全ての魔法を封じてきますから、どうか術士を捕縛するに留めてください。」

ルヴォンも馬から降りてきた。
ギュバが司隊の耳に何か囁いた。

「では君の成功を祈ろうではないか。
もしも失敗したならば、我々は軍としての行動を取らせてもらおう。」
「導師、感謝します。
全力を尽くします。」

いよいよ使命は重大になったが、彼はシェブロンの弟子として、軍とマーラの双方に“LIFE”の戦い方を示せることに誇りを感じていた。

タフツァが第二隊の前衛を追い越し、しばらく駆けると、遠くに「城塞テビマワ」がその姿を現した。

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