The story of "LIFE"

第 04 章「開戦」
第 01 節「憎悪の対立」

第 14 話
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頭部を負傷してソマとヤエに手当てをしてもらったタフツァは、行軍する第二隊から遅れてルヴォンとギュバのいる前衛を目指していた。

やっとのことで隊の後方に追いつき、追い越して行こうとすると、殺気立った衛士の一人に荒っぽく声をかけられた。
だがここは相手に聞く耳のないものとして先を急ごうとした。

すると衛士は目を血走らせてタフツァに近寄り、殴りかかろうという格好である。
先にギュバから殴打を受けていたので、彼はこの軍隊の性格を理解しつつあった。

学者ではあるが、魔法も身でかわすだけの素早さを持っている。

とはいっても、ここで格闘の相手をしたり、魔法を放ったりすれば、軍の敵とみなされてしまうだろう。
タフツァは一撃をよけると、決然と言い放った。

「私は“LIFE”の術士です。
あなた方も魔法を使うのなら私たちの主張ぐらい知っているでしょう。
悪魔結社マーラを壊滅させるのに彼らの生命を奪うというやり方には反対です。」
「何をふざけたことを!
第三隊は奴らの手にかかって全滅したんだぞ。
俺たちも同じ目に遭わせようというのか!?」
「前衛よりも先に私がテビマワに近寄りましょう。
そして彼らが魔法を使えないように消耗させておきます。
あとは捕縛してアミュ=ロヴァへ連行してください。
ルヴォン司隊にもお話ししてあります。」

このような作戦には前例がなく、成否はタフツァ一人に委ねられてしまう。
ルヴォンはじめ、軍の衛士たちからそこまでの信頼は得られていないのである。

また、もし捕縛できたとしても、術士たちが休息すれば魔法力が回復することは明らかだ。

これについては、タフツァの中で一つの構想ができていた。

あのザベラム全体が逆方向の魔法場になっていたように、全ての発動を無効にするような空間――「非魔法場」というものを作り出すことが、きっとできるに違いない。

古代魔法グルガの応用で、相手にかかっている魔法の効果を消滅できたように。

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