第 04 章「開戦」
第 01 節「憎悪の対立」
モアブルグの巡査隊にも、内衛士団・第三隊全滅の報がもたらされていた。
彼らは、今度はアミュ=ロヴァの要請を受けて、ザベラムで何が起こったのか、調査にあたらなければならなかった。
ソマが巡査隊本部へ戻った時、宿に待機していたヴェサたちもすでにここへ来ていた。
湖畔の古屋敷を奪回できたので、そこから魔法に関する書物が押収され、次々に運ばれてきている。
LIFE一行は、古文書の解読に協力することになっていた。
「元々このモアブルグという所は、古都アミュ=ロヴァから交易ルートを通って陸路・海路で東方の国々へ行くための、足がかりだったわけだ。
盛んに行き来がされるようになってからは、都市を離れて研究に明け暮れる学者も多かったらしい。
最近になって、黒ローブどもが巣食い始めたようだが・・・。」
ヴェサは、若い魔法使いたちに語り続けた。
「奴らが求めたのは、古代魔法グルガと発動法に関する書物だけでなく、儀式や秘術、悪魔召喚、モンスターの生成法など、それこそこっちには用のないものばかりだっただろう。
しかし、これだけの書物の中にはきっと、焼かれずに済んだ“LIFE”の文献があるはずだ。」
少しずつ古代語を学んでいたソマは、ヴェサに助けられながら、一冊一冊を調べていった。
フィヲは退屈していたが、ザンダがまた外へでも飛び出していかないよう、これまでの旅の話をしようと持ちかけていた。