The story of "LIFE"

第 04 章「開戦」
第 01 節「憎悪の対立」

第 02 話
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屋敷の中へ踏み入ったタフツァは、残る首領のラモーを探した。
昔は富豪の邸であったというこの建物は、なるほどそれらしい外見を留めていたが、一階・二階が部屋になっていて書棚で占められているのに対し、「地下室」が改造されており、大小さまざまな「檻」や実験器具の散在している様子は、やはりザベラムの地下施設と同様に「生体実験」が行われてきたことを思わせた。

異臭の漂う中を、タフツァは愛用の長く頑丈な杖を構えて、奥へ立ち入ってみた。
すると、あちらこちらに、まだ生きた動物たち――中には、実験によって不具になったものもあった――が鳴き声を立てたり、這いずり回ったりするのが見て取れた。

薄暗い電灯は彼らの趣味であろうか、この地下室に常時燈っているらしく、いかにも陽の光を嫌う者たちの照明といった観である。

実験用に集められた動物たちの中には、かなり大きなものもいれば、火災後のザベラムとは違って、人工的に作り出された、いわゆる「モンスター」の類もそのまま取り残されていた。

あるものは檻の中、またあるものは破れた檻を出て外を徘徊し、人間に対する敵意は目の前のタフツァに向けられていた。
彼はたびたびそういった悲惨なる生命に遭遇し、応戦を余儀なくされたが、決して絶命させることはなかった。
それらを目にするにつけ、どうにも申し訳ないという気持ちに苛まれた。

そんな中、一頭の「コグマ」であろうか、怪我をした、やや大きな生物が、よたよたと、地下室を出て階上へ逃れ出ようとしているのが分かった。

タフツァはそれを助けようと近付いたが、警戒されてすぐに見失ってしまった。

だが、これが敵の罠であることに気づくのが遅かった。

「コグマ」は、変身の魔法「ドファー」によって姿を変えた、怪人ラモーだったのである。

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