The story of "LIFE"

第 04 章「開戦」
第 01 節「憎悪の対立」

第 01 話
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古都アミュ=ロヴァの「内衛士団」・第二隊は、参謀を務めるギュバ導師の到着が二日後と伝えられたことから、更に一日、モアブルグの本営で滞在することになっていた。

一方、タフツァとザンダがルヴォン司隊を訪ねた翌日、町の「巡査隊」に加わったソマとヤエは、想定通りの成果を上げていた。
すなわち、ソマが単独で「湖畔の古屋敷」に近付き、「ドゥレタ」で三度の地震を起こすと、建物の中からは我先にと、黒いローブを着た術士たちが飛び出してきたのである。

当初、巡査隊が遠く包囲して彼らを捕えようという声もあったのだが、必死で逃げ出す術士たちと衝突すれば、双方の犠牲が出るだろうと、別の策が施されることとなった。
術士たちがモアブルグへ逃げ込まぬよう、町側に巡査隊員を配置するにとどめたのである。

こうして、大半は「テビマワの城塞」へと追いやることができた。

前日までの情報により、この屋敷には、「悪魔結社マーラ」の主要人物のうち、「奇術士ヨンド」と「怪人ラモー」が潜伏していることが分かっていた。

まだ全回とならないフィヲと、体の変調が続いているザンダ、そして負傷したドガァも、大事をとって宿で休ませている。
老婆ヴェサも残った。

首領級の二人と対峙するのは、タフツァと、巡査隊の代表である戦士ゴーツだった。
相手が二人であるならば、こちらも二人で応戦しようというのである。

ソマがまだ囮(おとり)の魔法を発動する前、屋敷へ接近していた時点で気配を悟った奇術士ヨンドは、大慌てで指示系統に防衛を命じたが、もとより結束の弱い黒ローブの一団は、取り乱して逃げることの方が早かった。

そこでヨンドは、こういう場合も肝の据わったラモーに危険を知らせることにした。

「おい!
ぼさっとしてねぇで、逃げるぞ!!」
「雑魚どもはもう逃げている。
俺たちが逃げる理由なんてあるのかい?」

ラモーは小柄で青白く、高くて細い声をした男だった。
彼はヨンドの酒臭い息に忌々しげな表情を浮かべつつも、落ち着いた様子で書物を閉じた。

「おらあ、LIFEの術士はまっぴら御免だぜ、ラモーよう。
先に逃げるからな、お前さんもまあ、気ィつけろや!」

奇術士ヨンドが屋敷を飛び出したところで、ゴーツが道を塞いだ。

「あんたが首領の一人か。
おれが相手だ。」
「何だ!?
誰が戦うなんて言ったよ?
おらあ、テビマワに用があって出かけるだけだ。
邪魔するんじゃねえ!」

ヨンドが走って逃げ去ったので、ゴーツはある程度まで追った後、引き返した。

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