The story of "LIFE"

第 03 章「彷徨(ほうこう)」
第 02 節「文献探し」

第 19 話
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「貴様、『LIFE』の術士だな。
すると、シェブロンの教え子か・・・。」
「その通りだ。
何故、博士の名を知っている?」
「奴には恨みがあってな。
『悪魔』の復活は、シェブロンを殺したい一心でやったことだ。
・・・もちろん、教え子である貴様らも、生かしてはおかないぜ。」

グルガの術士との対峙にあって、「間合いは禁物だ」とタフツァは知っていた。

彼らは邪念が強い者ほど知能も高く、損失を押さえた戦法を用いてくる。
その場合、一番先に狙われるのが、「奪命(だつみょう)」と言って、相手の「心臓」を目掛けたグルガの発動なのである。

タフツァは先手を取った。
「ザイア(冷気)」と「パティモヌ(水)」による微小な氷の粒が、ケプカスを取り巻いていく。

「・・・かったるいやり方だな。
少しずつ消耗させようっていうのか?
大した魔法も使えないらしい。」

ケプカスは、やや強い風を起して、氷の粒を吹き返してきた。

これをタフツァは素早く身でかわして、相手との間合いを詰めている。
彼の長い杖が、ケプカスの腹部へ向かって伸びた。
肉弾戦を挑むつもりだろうか。

ふいに杖が弾かれたので、タフツァは相手に「ロニネ」がかかっていることを確認した。

そして反撃魔法を見送って、彼は自分の長い杖をその場に垂直に立てたまま、ケプカスの後ろへと回り込んだ。

ケプカスは慌てて振り向いたが、その時にはタフツァの魔法が放たれていた。

目の前に浮かんだ魔法陣には、この「悪魔使い」にとって見慣れた「ある文字」が、くっきりと描かれているではないか。

「き、貴様、グルガを使うのか!?」

動揺を隠せないらしいケプカスの「ロニネ」が消滅すると、タフツァは足元に転がっている自分の杖を拾い上げ、ぶんと上向きに振り上げて、ケプカスの体を宙に浮かせてしまった。

「小僧め!
何をする!!」

完全に隙を与えない連続攻撃だった。

2メートルほど浮かんだ敵の体が、突然の「旋風」を受けて回転し始める。
すぐに風は止んだが、ケプカスの体は「ゾー」によって重力操作されている上に、空気以外の摩擦がないため、くるくると回転を続けていた。

「グルガの魔導書というのは少なく、僕もまだ目にしたことがない。
だから、一体どんな文字なのか、お前の発動を見させてもらったよ。
従来の使い方は別として、これから存分に研究させてもらおう。」

彼が狙っていたのは、相手の描く「グルガ」の魔法陣を見て、その文字を記憶することだった。

さっきは持ち前の素早い動きを生かしてケプカスに魔法を起こさせ、それが案の定、「グルガ」を含んだ発動であったため、すぐに応用してみた。

前々から彼が研究していた、「魔法の消滅」あるいは「戦意の喪失」を、相手に肉体的負荷をかけずに行なうという方法だ。

これは「グルガ」を、生命を奪うためではなく、危険な攻撃魔法を未然に防ぐために用いるので、大いに役立てられるにちがいない。

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