The story of "LIFE"

第 03 章「彷徨(ほうこう)」
第 02 節「文献探し」

第 14 話
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同じ日の、やや日が傾きはじめた頃、「闇の都市ザベラム」は、何か新しい話題に涌きかえっていた。

「『馬頭神・モルパイェ=フューズ』が完成したそうだ!
何でも、合成に人間を2~3人使ったそうで、言葉まで話すらしい!!」
「前のは野生本能が強くて、暴れまわっているだけだったからな。」
「おれもいつか、『悪魔』の合成案を出してみたいもんだぜ。」

町は黒いローブの男ばかりで埋め尽され、その至るところで『悪魔誕生』を知らせる「ビラ」が、何種類も撒き散らされていた。

この町の中を、ザンダは半ば興奮して、話の輪に入ったりしながら練り歩いていた。
ドガァも一緒である。

「見ろよぼうず!
これが実験中の『エンリツァーカ=ギ―ル』だ!!
オレの山羊を使ったんだぜ!!!」
「うっわぁ!
かっこいいじゃん!
見せて見せて!!
おじさん、これ、もらっていってもいいかい??」
「いいとも。
しかし感心だねえ、まだ子供だってのに。
・・・一体、何の魔法を使うんだい?」
「ヘヘン!
一発、使ってみるよ、ホラッ!!」

ザンダは調子に乗って、宙に「インツァラ」を起して見せた。
すると、まわりにいた術士たちが大勢集まってきて、ザンダをもてはやした。

「お前もローブを着るといい。
きっとすごい『悪魔使い』になれるぜ!!」

男はこう言って、家の中から黒いローブを一着持ってきた。
ザンダはこれを着せてもらった。

「なかなか似合うぜ、ぼうず。」

幼いザンダは、「今までこんなに楽しかったことはない」と思った。
挙げ句に、ドガァにも何かつけてやるものはないかと、街路の裏にある「露店街」へ入っていってしまった。

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