The story of "LIFE"

第 03 章「彷徨(ほうこう)」
第 02 節「文献探し」

第 04 話
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会議室は静まり返ってしまった。
そして各々、ゆっくりと席についた。

「まだグルガが封印されていた頃、『闇の都市ザベラム』では、魔力を持つ動植物を人工的に作ろうと、盛んに研究が進められていました。
『レボ―ヌ=ソォラ』の中でも、なぜか『ザベラム』には、本来のグルガの術士、つまり封印によって魔法力を奪われた人々が、多く住んでいたのです・・・。」

彼女はここで一息ついて、一行の顔を見回すようにした。

「あたしもまだ若い頃、『古都アミュ=ロヴァ』に住んでいたことがある。
それで、多少の事情は承知しているが、・・・当時はそんな研究も、市民には知られていなかったのだろうね。
ただ、昔から『ザベラム』に危ない連中が住んでいたのは、確かだ。」
「彼らは魔法の応用に関して、ほとんど天才といってよいほどの素質を持っていました。
書物の中で魔術的儀式などを見出しては古代の魔獣を甦らせ、自身では扱うことのできない魔法も使いこなしたのです。
学者たちの研究施設では、魔法生物を作るため、生体実験が繰り返されました。」

暖炉の炎が一瞬翳(かげ)り、再び燃え盛った。

「・・・そして、『封印』が解かれた十五年前に、何か変化が起こったのですね。」
「そうです。
学者たちが魔力を取り戻したため、『魔法生物』の生成は一層容易になりました。
こうして、あの恐ろしい『魔物』たちが世に生み出されることになったのです・・・。」

「『魔物』!
シェブロン先生も言ってたよ。
自然界で生まれたのとは異なる生き物がいる、そうしたものが生み出されたのは、まだごく最近のことだ、ってね。」
「『グルガ』の解放後に日の目を見た『魔物』たちは、いずれも書物の中だけで生きてきたような、いわゆる『悪魔』の類で、すでに出現しているものが2体あります。」

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