The story of "LIFE"

第 03 章「彷徨(ほうこう)」
第 02 節「文献探し」

第 02 話
前へ 戻る 次へ

十五年前に「ディスマ」の封印が解かれた後、この地方にも急速に「グルガ」の術士が増えてきていた。
彼らは「封印」や「LIFE」を嫌う余り、関連する書物を見つけ出しては、次々に焼いてしまうのだった。

実は、リザブーグ王国で「術士の排除」――すなわち数百年前の「封印の儀式」が行なわれた時、その技術の多くはレボ―ヌ=ソォラから借り出されていたのである。
つまり、王国における詳細な記録を除けば、あらゆる文献がここで眠っていることになる。


タフツァの一行は船旅を終えたのち、半島の最南端にある港からこのモアブルグまで、かなりの距離を歩いてやってきた。

そのため、皆内心で疲れを感じていたようだ。
到着後は好き好きの方向に関心を示して、自然と別行動になった。

このパーティを組んでから殊に親しくなったソマとフィヲは、店などで賑わっている通りを選んで、雑談などしながら、真っ先に宿へ着いた。
ソマが慣れた様子で宿泊手続きをし、フィヲはそれに注意深く見入っていた。

しばらくして各部屋の鍵が渡されると、今までロビーの奥で一人、分厚い本に目を落としていた女性が、二人に話しかけてきた。
彼女は「魔法剣士ヤエ」と名乗った。


一方、リーダーのタフツァは、早くも情報収集を始めていた。
町と付近の地図を入手し、それを見ながら歩いては、文献の手掛かりとなるような諸事情をつかもうと努めた。

「すみません、旅の者ですが、この辺りの『観光名所』はどこですか?」
「あんた、大陸の言葉を話すんだね。
この前来た旅人は、何やら『古代語』を使っていたが・・・。
最近では、あれが魔法使いどうしの合言葉なのかね?
んー、『名所』といえば、日頃学者たちが出入りしている古いお屋敷があるくらいかな。
昔はお金持ちの家だったそうで、貴重な書物も多く眠っているという話だ。
湖のほとりに建っているんで、あれが唯一の『観光名所』だろうね。」

「あ、その『旅人』って、どこへ行ったのか分かりませんか?」
「確か、『古都アミュ=ロヴァ』へ向かったって聞いたよ。」
「そうでしたか!
助かります。
僕らは当分この町に滞在しますが、これからもどうぞよろしく!!」

夕暮れの広場を後にして、タフツァは宿へ向かった。
幾分、急ぎ足になっていた。

前へ 戻る 次へ
(c)1999-2024 Katsumasa Kawada.
All Rights Reserved.