The story of "LIFE"

第 03 章「彷徨(ほうこう)」
第 01 節「ヱイユ」

第 02 話
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曇り空の切れ間から、わずかに日が射してきた。

灰色の竜は少しの休息を求めるようにして、集落のある森へと降り立ち、すぐさま人間の姿に戻った。

彼は、大地の温もりを、ほとんど懐かしいといった様子で踏みしめてから、静かに目を閉じた。
木々のあちらこちらで遊ぶ小鳥たちの鳴き声に、じっと聴き入るためだった。

やがて目を開くと、今度は、木陰に差し込む穏やかな日差しを感じて、まだどこかにあどけなさの残る顔を、多少、赤らめたようだった。
そして、風で揺れ動く緑の息吹に、彼はある種の感慨が、自分の中に、次第に込み上げてくるのを覚えて驚いた。

このことを半ば照れくさくでも思ったのだろうか、彼は突然、鋭い目付きをして剣の柄を握り締めた。

「もう少しか。
・・・いや、まだだ。」

森を吹きぬける風にも似て、――実際、いつの間に魔法を使ったのだろう――、ヱイユは両翼を広げると、再び空へ舞い上がっていった。

彼が目的としている、この辺りで最も高く険しい山は、もうすぐ目の前に聳(そび)え立っているのである。

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