The story of "LIFE"

第 02 章「連動」
第 02 節「機は熟さず」

第 18 話
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そこは、天井の開けた「祭壇」ともいうべき部屋で、上空には混沌の「黒い宇宙」が広がっていた。

パナの解けた髪が、美しく揺れている。
彼女は今、魔の国王たる「ディ=ストゥラド」と、ヨムニフに術をかけられ「邪神」と化した、ヱイユを相手に戦わねばならなかった。

正気を失った少年が、微かに宙を浮いていた。

国王の声が響き渡った。

「抗うことはない!
お前も、我が下僕として生きよ!!」
「それはできないわ。
私が今日、あなたを封じに来たことくらい、知っているはずよ!」
「それは残念だ・・・!」

突然、激しい稲光が天を引き裂いたかと思うと、忽ちにパナの頭上へ向かって迸った。

これに対し、パナは祭壇に強力な「磁場」を張って身構えた。

一瞬の出来事だったが、稲妻はパナの頭上をわずかに反れて、祭壇の一角を激しく砕いていた。
「磁場」が「電撃」を曲げたのである。

この一撃目を放った直後、邪神ヱイユは軽々と上空へ飛び上がった。
そしてすかさず、数連発で雷を落としてきた。

これには、パナも「ロニネ」を張って身を守った。
パリアに落ちた稲妻は、結界に吸収されて、術士であるパナにエネルギーとして与えられていった。
「ロニネ」と「テティムル」を合わせての発動法である。

今度はパナがヱイユに向けて魔法をかけた。
大地へ引きつける「ゾー」である。

ヱイユはバランスを失って、祭壇に叩きつけられるほどの勢いで落下してきた。

そして祭壇との衝突寸前で、パナが逆向き「ゾー」によって少年を救うと、彼を攻撃型「ロニネ」に閉じ込めてしまった。

結界の中、狂戦士と化した少年は暴れ回っていたが、打撃も魔法も全てが自分に跳ね返り、消耗し尽くしたためだろう、そのまま気絶してしまった。

「さすがに、力の使い方をよく心得ておるわい!
ならば、わしが直々に相手をしてやろう!!」

「ディ=ストゥラド」が立ち上がると、突如地震が起こった。
地面から突き上げられるような衝撃に、パナはしりもちをついた。

彼女がまだ起きぬ間に、今度は豪雨が辺りを襲い始めると、急激に大気が冷えてきた。
更には稲光が天を斬り裂いて、「黒い翼」の者どもを呼び寄せた。

空からの急襲に、パナは「メゼアラム」を用いて応戦した。
以前捕らえてあった悪魔たちを、彼ら「新たな天からの刺客」へと向かわせて、互いに減じ合わせるのである。

また彼女は、次々と現れる「黒い翼」たちを一匹また一匹と捕らえては、即座に天に向けて放ち返していった。

底冷えの寒さがやがて耐え難いものとなり、冷気による氷の結晶が一帯に立ち込めて、いつしか地面までも凍りついていた。

パナはとっさの判断で、「ズーダ(熱)」を使って氷を溶かそうとしたが、あまりの温度差に、爆発が起こった。

その隙を突いて、「ディ=ストゥラド」は鉄槌を振りかざしてきた。

これに対してパナが、「インツァラ(爆発)」と「テダン(電撃)」の合体を取って破裂させて見せた。
従来、彼女はどちらの魔法も使えないはずだったが、これこそ、前の階で無数の魔物を「メゼアラム」に捕らえておいた、先見性の現れといえよう。

意表をついて鉄槌に電撃が加えられたため、魔王が一瞬、怯む。

それでも彼女は追撃をゆるめない。

「ゾー」を発動させ、天空に舞い遊ぶ「黒い翼」の者どもを、「ディ=ストゥラド」目掛けて数多(あまた)と叩き落した。

ごくわずかの間に、一体、何百発のダメージを受けただろう、彼はよろめいて前へ倒れた。

「さあ、滅びなさい・・・!!」

天から一筋の「柱」が立つほどに、強烈な稲光を伴って、「ディ=ストゥラド」の背中を指した彼女の「テダン」が、轟音とともに炸裂していった。

と、王は左の手の平で「テダン」を受け止めて、そのエネルギーを吸収してしまっていた。

そのまま彼はスッと起き上がり、右手の一振りで竜巻を現じた。

身の軽いパナにとっては、暴風を耐えるだけで精一杯となった。

地に伏しそうになりながらも、彼女は「バトン」を高くかざして、王が出したものとは反対回りの「竜巻」を立ち上げていった。

そしてそれらを互いにぶつけて威力を相殺させた後、衝突のエネルギーだけ上空へ飛ばしてしまうつもりでいた。

けれども、あまりに強い力どうしがぶつかり合ったために、予想外の、凄まじい衝撃波が起こった。

「ディ=ストゥラド」は「ロニネ」を張ってこらえたが、パナは突き飛ばされるような衝撃を受けて、祭壇の柱へと、全身を強く打ってしまっていた。

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