The story of "LIFE"

第 02 章「連動」
第 02 節「機は熟さず」

第 11 話
前へ 戻る 次へ

その頃、ノイとシェブロンは、まだヱイユに追いついていなかった。
というのも、以前は「449街区」への「抜け道」として使われたはずのこの通路が、姿を変えて、全くの「迷路」と化してしまっていたからである。

「これは間違いなくヨムニフの罠だろう。
・・・だからといって、ヱイユくんを一人で行かせるわけにはいかない。
私たちも、あの男を追うぞ。」
「博士、お気をつけください!
この辺りには、『不定形モンスター』の気配があります!!」

彼らが出入りしていた頃、通路は床と壁とを張って整備されていたが、新しく作り足された通路には整った床も壁もなく、岩と土、植物の根などがむき出しになっていた。

そして、ノイが指摘した通り、壁面や地面の岩の間などから、黄色い「粘土」のような物体が無数に現れてきた。
これが「魔法生物スライム」と呼ばれる、骨格を持たないモンスターである。

「厄介なものを呼んでくれたな・・・。
『スライム』には物理攻撃が意味を為さない。
それに、人工生物といっても、生を受けた以上、殺傷することは許されない。
わたしが大地にかえすから、ノイくんは決して触れないように。」

ヱイユとソマに対する「レッスン」が行なわれたとき、ソマは大地からエネルギーを取り出す方法を学んでいた。
それとは逆の操作で、被術者のエネルギーを大地にかえす、という発動方法があった。
いずれも「ドゥレタ(大地)」と「テティムル(吸収)」の合体魔法である。

シェブロンは通路全体の「地面」と「スライム」を対象に術をかけ、道を開きながら先へ進んでいった。

「だんだん、地上が騒がしくなってきたようです。」
「われわれの隠れ家が見つかった以上、ただでは済まされないだろう。
ツィクターさんたちも、もう地下にはいるまい。
ノイくん、衝突を余儀なくされても、犠牲を出さずに戦うんだよ。」

結局、二人はヱイユを見つけられないまま、王宮近くの出口へさしかかった。

すると、シェブロンがかけた魔法を跳ね除けて、天井から巨大な「スライム」が姿を現した。

前へ 戻る 次へ
(c)1999-2024 Katsumasa Kawada.
All Rights Reserved.