The story of "LIFE"

第 02 章「連動」
第 02 節「機は熟さず」

第 09 話
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辺りは倒れた兵士と、停止した「鉄甲兵」ばかりになった。
まだ戦意があるのは、司令官のネマーダだけである。

「後の部隊が到着するまで、まだ時間がありそうだ。
ツィクターよ、『一騎討(いっきう)ち』を楽しもうじゃないか。」
「お前とは勝負をつけておかねばな。
・・・いいだろう。」
「無茶よ!
魔法なしで『グルガ』に対抗するなんて!!」
「わたしに魔法は使えないが、与えられた全ての力を出すとき、誰にでも『LIFE』が発動できる、と博士は言っていた。
過去の戦線でも、魔法を身でかわす必要がたびたびあった。
心配するな、わたしなりに『グルガ』を破ってみせる。」

ツィクターは「電撃仕込みの剣」を置くと、愛用の「刀身(とうしん)が短い剣」を抜き、ネマーダと相(あい)対した。

次の瞬間、双方の合意によってか、何らの合図もなく剣閃(けんせん)が交差した。

そして組み合ったまま回転して、素早く後ろへ飛び退(の)くと、再び激しくぶつかり合った。
ネマーダが少したじろいで飛び上がる。

ツィクターは一歩後ろから鋭い角度で切り返して、空中のネマーダ目掛けて高速で飛び掛っていった。
「刀身の短い剣」はネマーダの肩に突き刺さり、相手の剣は、つと遠くの地面に立っていた。

すると途端に、ネマーダは左の手で「暗黒の玉」を起こして見せた。
それが、力いっぱいにツィクターの右肩へと叩きつけられる。
付近の鎧が黒煙(こくえん)を上げて消え去った。

二人は負傷しながら、早くも間を取っていた。

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