第 02 章「連動」
第 02 節「機は熟さず」
「見つかったとなると、兵士たちがこちらへ向かっているはず。」
「地下から地上の位置を割り出されたかもしれんぞ。」
「すると、ここへ通じる道はどれもバレたわけだな。
それなら、皆でまとまって外へ出よう。」
「魔法で援護(えんご)するわ。」
「後ろは引き受けよう。
罠(わな)を仕掛けながら行く。」
「わたしも、『どぅれた』をつかう!!」
「この通路は特に複雑だ。
博士と合流できるとも限らない。
全部の通路から攻め手が来るのなら、城門に近い出口を選ぶとしよう。」
彼らは、所々に扉のある狭(せま)い通路を駈けた。
時折(ときおり)「地響き」のような音が近づいてきては、またすぐに遠ざかっていった。
「上は、何かが起きているのか・・・?」
やがて前方から、けたたましい大勢の足音とともに、「特別警戒兵」たちが現れた。
「シェブロンはお前か?」
「だったら、どうする?」
双方とも有無(うむ)を言わせぬ「剣撃戦」が始まった。
ツィクターは「剣」で防御しながら、攻撃には「木の棒」を用いて一本道を突破していった。
兵士が一つ所(ところ)へかたまっている場合には、パナが彼らのエネルギーを大地に吸わせて、一気に戦意喪失(そうしつ)させてしまった。
一方トーハは、後ろからの追っ手に備えて、部屋の至るところにロープで足止めを作った。
それに加えて、ドアが開かれると「催眠(さいみん)ガス」を発射するしかけなども多用した。
時々しぶとい兵士が後ろから襲ってくると、ソマが大地から「木の根」を引き出して絡(から)めてしまい、事無(ことな)きを得ていた。
ようやく出口付近まで逃れると、今度はあの「地響き」が、いくつも真上へ集まってきているようである。
そして目の前には、あの「見慣れない制服の兵士たち」が、隊列を整えて身構えていた。
「お前も・・・ずいぶんと堕ちたものだな。」
リーダー格の男は、ツィクターに声をかけてきた。