第 02 章「連動」
第 01 節「未来の珠(たま)」
では、どのようにして「封印」は実現されたのか。
確かに「魔法」には相反(あいはん)する属性を持ち、互いにぶつかり合う時、相殺(そうさい)する「対(つい)」の存在が認められている。
しかし、特定の「魔法」を世界から消し去るほどの力となるとそれは全く別次元であり、多くの術士を集めたところで容易(ようい)に得られるものではない。
つまり「封印」とは、魔獣召喚の魔法「メゼアラム」とも違って、単一(たんいつ)の古代文字によって表せるものではない。
もっと複雑な「合体魔法」を組むことで初めて得ることができ、発動は一つの「奇跡」とまで言われていたのである。
それが、実際に「グルガ」を消し去るほどの「力」であった。
さて、あの参加者を一人欠いた「LIFE」の会議があった翌日、半年ぶりの異様な熱気に沸く城下の光景を目にしたノイとツィクターは、呆気(あっけ)に取られながらも「協力者」を探し歩いていた。
人々の反応は、闇夜(あんや)の反乱兵たちよりも一層、無関心だった。
冷笑的であるという以上に、全く理解しかねるといった様子なのである。
あるとき、ツィクターがノイにこう告(つ)げた。
「街路の端々(はしばし)に光る、監視の目には気をつけろ。」
それからノイやツィクターの行動は、日に日に制限されるようになっていった。