第 02 章「連動」
第 01 節「未来の珠(たま)」
絶滅よりも一層、「悪魔的」といえるであろう行為が成(な)し終えられた。
あらゆる情熱は骨抜きにされたように思われた。
けれども、未(いま)だ陽を見ぬ城下街の最も深い地下層では、ただ一点の「光」が、若き革命者たちによって灯(とも)されようとしていたのである・・・!!
雷雨(らいう)の晩、シェブロンはあのズブ濡(ぬ)れの少年を保護して「449街区」へと連れ帰っていた。
少年は一言も声を発しなかったが、はにかんで顔を赤らめていた。
そして次第に、笑顔が浮かぶまでになったのである。
「ここがきみの家だよ。」
少年は照れくさそうに頷(うなづ)くと、暖炉にあたっている少女の横に座った。
少女は声をかけた。
「あなた、だあれ?」
「――ヱイユ・・・。」
「わたしはね、ソマっていうのよ。
えいゆくんも、らいふね。」
「・・・らいふ?
うん。」
それから、少年はずっとソマの近くを離れなかった。
彼女の優しい話し声を聴いているうちに、ヱイユはそっと、ソマの手に触れたまま、眠ってしまっていた。
しばらくして、異変のため昼夜の区別はなかったものの、本来ならば深夜にあたる時刻に、隠し通路を通って数人がシェブロンの部屋を訪れた。
当時まだ働き盛(ざか)りの魔法技術者トーハ、リザブーグ王国騎士団の反乱兵ノイ、そして、幼い子供を抱えたツィクターとパナである。
そこへ更に、定刻を過ぎて現れた人物が、もう一人加わっていた。