第 02 章「連動」
第 01 節「未来の珠(たま)」
場面は再び、狭(せま)い街路へ。
あの、地下室へ降りていった騎士は、一体どうなったであろうか。
隠し階段をくだりきると、短い廊下の奥からは明かりが漏(も)れているのが見える。
この古い木の扉に向かい、彼は取っ手に触れようとした。
するとその瞬間、内側から扉が開いた。
そして、今まで感じなかった「死」の気配が、背後にも、正面にも現れてきたのである。
しかし、彼は冷静に剣を抜いて、前後の敵に対して身構えた。
『小僧、おやすみの時間だよ・・・!!』
「ハハッ、かかったな!
残念だが、ここまでだ。」
次の瞬間、背後の床が崩れ落ち、現れた「翼人(よくじん)」は、まるで引きずり込まれるように地中深く堕(お)ちていった。
また同時に、彼の剣が赤々と燃え上がり、正面の悪魔は炎に飲まれて消え去った。
この騎士が、魔法使いファラの父親にあたる男で、名前を「ツィクター」といった。
見ると、部屋の中も「黒い翼」の者たちでいっぱいである。
奥には結界で守られた赤児(あかご)が、スヤスヤと眠っていた。
騎士ツィクターは我が子の方へちらと目を配り、素早く中央のテーブル上に「ガラス玉」を置くと、部屋一面に張(は)り巡(めぐ)らされた「魔法陣」が発動し、忽(たちま)ちに悪魔の一派は皆、大地の養分と化してしまった。
「メゼアラム」と「ドゥレタ」を合体・応用させた魔法が込められていたようである。
ちょうどそこへ、この部屋からどこか別の場所へと通じている「隠し通路」を通って、ファラの母親にあたる女性が現れた。
彼女は、「パナ」と呼ばれていた。
「さあ、449街区へ、急いで!」