The story of "LIFE"

第 02 章「連動」
第 01 節「未来の珠(たま)」

第 03 話
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外の雨は、更に激しさを増していた。

天に蠢(うごめ)く「黒い翼」たちは、地上に人影を発見すると即座に急降下してきて、無差別に生命(いのち)を奪い取ってしまっていた。
そのため、町の大半は死に絶え、ごくわずかの人々だけが、地下などに隠れて抵抗していたのである。


さて、同じ日の同じ頃、悪夢と滅亡の城下町にあって、泣き叫びながらではあるが、傷一つ負わされることなく歩きさまよう幼子(おさなご)がいた。
このようなまだあどけない子供が、なぜ「天」のターゲットとならなかったのだろうか。

彼は「ヱイユ」という、普通の人間の子供であった。
しかしながら、彼が生まれ持った力は、決して普通の人間のそれが及ぶものではなかった。

ヱイユは時に雷鳴を呼び起し、天を舞い遊ぶ悪魔たちを射(い)落として踏みつけ、更に泣き叫ぶのだった。
これを見かねて、「黒い翼」の一団からとりわけ強い魔力を持った者が現れることもあったが、皆たったの一撃のもとに、幼児(おさなご)の手でひねりつぶされて果(は)ててしまっていた。

ますます激化する雷雨(らいう)の街角(まちかど)で、ある時、天によるものか幼いヱイユの魔法によるものか、一匹の「翼人」が電光とともに、真っ二つに斬(き)り裂(さ)かれてしまった。

実際、彼は常に「剣(つるぎ)」を背負っていた。
「電撃」と「剣撃」が重なって見える瞬間だった。

この、血にまみれた勝負の現場に、一人の壮年が立ち合うこととなる。
すなわち、魔法革命家シェブロンと闘神ヱイユの出会いであった。

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