第 01 章「道」
第 03 節「事態収拾」
ファラが階段を降りようとしたとき、三段目で何かが光って見えた。
隅(すみ)に落ちていたのは、魔法を封(ふう)じ込めて守りに使う「指輪」だった。
この種(しゅ)の守りというのは、熟練(じゅくれん)の魔法使いが自分の子供などのため、魔法と共に様々な思いを込めて作る装飾(そうしょく)品である。
彼はこれに触れたとき、ほとんど「熱い」くらいの印象を受けた。
相当な魔法が込められているのだろう。
ファラは「指輪」につけられた、真っ赤な石に見入りながら降りて行った。
二階ではすでに「LIFE(ライフ)」の一行が一室に集まっているらしく、話し声が聞こえてきた。
「モアブルグにはタフツァ君とソマ、ヴェサさんとフィヲ、ザンダ、ドガァで行ってほしい。
全責任はタフツァ君が持ち、ヴェサさんによく相談して臨(のぞ)むこと。
更にリザブーグ王国へは、私とトーハさん、ノイ君、そしてファラ君で向かう。」
シェブロンのこの話が、出発前の最後の打ち合わせだったようだ。
皆、次々に部屋から出てきた。
フィヲが、降りてくるファラに気付いて声をかけた。
「あ、そのルビー。
無くしたらまたおばあちゃんに怒られちゃうところだったの!
いつもはつけてないのよね。」
ファラはルビーを手渡した。