The story of "LIFE"

第 01 章「道」
第 03 節「事態収拾」

第 01 話
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少年たちの行方不明事件があった次の日、「三階建て宿」の二階にある、一行の集合場所となっていた部屋では、あの壮年が幼いザンダと二人、朝早くから緊張した面持(おもも)ちで向き合って話していた。

ライオンのドガァがこの部屋の暖炉の近くにいて、壮年が話すときだけ、耳をピクッとさせていた。

「ザンダ、きみはすぐに強力な魔法を使う。
いくら悪さをした相手にだって、やたらに『インツァラ(爆発魔法)』なんて使うものじゃない。
まして『ゾー(重力)』と組み合わせて使うなんて、まるで彼らのすることと同じじゃないか。」
「あぶないと思ったんだ。
先生が言うように、『判断力』ってのが足んないこと、よく分かったよ・・・。」

普段、決まって反抗的なザンダだったが、今日はいつになく素直である。

それでも壮年は、これが魔法発動の性質自体を決する問題であるだけに、もう少し厳しく注意しておかねばならないと考えていた。

「それについては、よくみんなの戦い方を見て勉強しなさい。
冷静に考えたら、ファラ君が総力で『ロニネ』を張っていたんだ。
そうやすやすと破られはしなかったはずだよ。」
「やっぱり、そんなことってあるんですね・・・。
おれはてっきり『トゥウィフ』には一発でやられるもんだと思ってた・・・。」

これを聞くと、彼は少し表情を和(やわ)らげて語り始めた。

「けれども、私の手が回り切らなかった分、フィヲとともによく対処してくれた。
事態が不透明だったとはいえ、ファラ君を巻き込み、一番危険な場所へ行ってもらった責任は本来、私にあったのだ。
・・・それと、首謀者と思われる男に『ゾー』をかけたのも、私の判断ミスだ。」
「そんなの気にしなくていいよ!
遠くで起こっていること(地震)を予測するなんて、誰にもできやしないさ!!」
「そうとも言えない。
危険な相手だが、生きていれば改心できるかもしれないじゃないか。
責任者として、君やみんなに申し訳ない限りだ・・・。」

こう振り返りつつ、彼は夕べの男の声に混じった、異様な「歯車」のような音を思い起こしていた。

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