The story of "LIFE"

第 01 章「道」
第 01 節「山道」

第 02 話
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長い旅を続けてきた彼は、野営に慣れている。

パチパチ音を立てて燃える炎に向かって腰をおろすと、鞄(かばん)の中からパンと干し肉を一切れずつ取り出し、軽くあぶって食べ始めた。


やがて食事も終わった。
彼はさっさと荷物をまとめてしまって、今度は辺りを見回している。
どうやらここで休むらしい。

ファラはキャンプ・ファイアを中心に、円を描(えが)くような五本の木を選んだ。
そして、それらが互いに全て結ばれる図形をロープで作ると、何やら唱えて眠ってしまった。


一方、ファラがここに陣取った頃から、彼の周囲の森が少し変化していた。
静かではあるが緊張した雰囲気である。

珍しく通りかかったこの人間を見て、獣や危険な鳥たちが集まってきているようだった。


キャンプの炎が消え、ファラが眠りに落ちたとき、森が一斉に騒ぎ出した。
「蝙蝠(こうもり)」たちがしきりに喚(わめ)き立てている。

この種の蝙蝠は、集団で獲物を取り囲み、「怪音波」と呼ばれる声を出して幻惑の術をかけてくるのである。
彼らからすれば、ファラはあまりに無防備な、絶好の獲物といえた。

幻術の儀式が終ったようだ。
小さな吸血鬼たちは次々とファラに飛びかかっていった。

しかし不思議なことには、ある距離まで行くと、皆弾(はじ)かれてしまって、ファラに近づけずにいる。

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