The story of "LIFE"

第 01 章「道」
第 01 節「山道」

第 01 話
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賑わう市場を通り抜けて、道が山へと続いていく。
この向こうには、海が広がっているそうだ。

少年ファラは、樫(かし)の木でできた杖を持って歩いていた。

振り向いて町を見渡すと、もう炊煙(すいえん)が立ち昇っている。
ついさっきまで彼が買い物をしてきた、あの人々が行き交う通りも、店じまいをして家路につく姿ばかりである。

年が同じくらいの少年たちは皆、とっくに帰ってしまっていた。
しかし、彼に帰るところはない。

木々の生い茂る山へと一歩踏み込んだ途端に、もう日が暮れたのかと思われるほど暗くなってしまった。
実際、道を進むにつれて、夜が深まっていく。

獣たちが吠え始め、夜の鳥たちもまた、独特の鳴き声をたてる。
地元の人でも、この山へ夕方以降に立ち入ることは決してしなかった。

ファラは欠伸(あくび)をしながら、市場で買ってきた蝋燭(ろうそく)をランプに入れた。
そしてなにやら不思議な操作をしてから、ボッと火をつけた。
ランプ片手に杖をついて、彼は更に山道を登っていくのだった。

一時間ほど歩いた後に、ファラはランプを木に引っ掛けた。
溶けて短くなった蝋燭の灯かりが消えかかっている。

「今日も、よく歩いたなぁ。」

こうつぶやいて彼は、杖の先で何かの図形を手早く地面に描き上げた。
そして付近に落ちている枯れ葉や枝を集めてきて図形の真ん中に置き、手に持った杖を一振りすると、一瞬で炎が赤々と舞い上がっていた。

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